エネルギー環境教育支援プログラム
「みなさんの身の回りにある電化製品は、どれくらいの電力を使っているのでしょうか?」
教室内に並べられた、さまざまな電化製品と、自転車。気温が連日30度を超える2011年7月、埼玉県の本庄市立本庄南小学校で5年生を対象に行われた、45分の授業の様子だ。
今年の夏は電力の供給量が少なく、節電が求められている。どうやって涼しく過ごすか、科学的に考える授業が行われた。この授業はNPO早稲田環境教育推進機構、NPO法人企業教育研究会などが協働して開発。「エネルギー環境教育支援プログラム」の新しいプログラムだ。
自転車発電機で電化製品は動くのか?
まずは、どの電化製品が自転車発電機によって動くのか予想する。白熱灯、LEDライト、ラジカセ、扇風機、ドライヤー、冷蔵庫といった家庭にある電化製品をそれぞれ自転車発電機につなぎ、動くかどうか試す。
電気が通って動くものもあれば、よく動かないものもある。それぞれの結果が出るごとに歓声があがり、一つの傾向があることに子どもたちは気付く。ドライヤーや小さな冷蔵庫は、自転車発電機ではあまり動かない。それは、熱を使うものは電力をたくさん消費しているからだ。特に、夏はエアコンによって多くの電力が消費されていることを理解した上で、授業は後半へ進む。
節電しても涼しく過ごすには?
エアコンからの風は冷たい空気なので、涼しく感じる。しかし、うちわや扇風機の風は冷たい空気ではないのに、体に当たることで涼しく感じる。なぜそう感じるのか、サーモグラフィーを使って実験する活動が行われた。選ばれた代表者の顔や、その周辺の温度がプロジェクターで映し出される中、扇風機の風を当てる。すると、最初は赤色を示していた部分が黄色や薄い緑色に変化して、温度の低下を目に見える形で確認した。うちわや扇風機の風は、肌の表面にまとわりついている空気を飛ばすことや、汗の蒸発によって温度が下がることを知る。
しかし、それでも暑い日はエアコン無しでは限界があり、熱中症になる危険もある。エアコンを効率的に使うために扇風機で室内の温度を循環させれば、設定温度を下げても近い効果が得られ、消費電力を節約できることを学んだ。最後に「工夫しだいで節電をしながらも快適に過ごす方法はあります」というまとめが紹介されて、授業は終了した。