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廃棄物問題の教材化を考える

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エネルギー環境教育 教職員セミナー

 原子力発電により発生する使用済燃料を再処理した後に残る、高レベル放射性廃棄物等をどのように処分するかについて、社会的な関心が集まっている。昨年11月30日(土)、京都市のハートンホテル京都で「エネルギー環境教育教職員セミナー」が開催された。原子力発電環境整備機構(以下、NUMO)がセミナーを主催。小学校・中学校・高等学校の教員や教員を目指す大学生が参加して、エネルギー問題の大きな課題である廃棄物の処分を、教材としてどのように扱うかを議論した。

エネルギー環境教育と処分の現状を情報提供

 開会にあたり、京都教育大学の山下宏文教授から「東日本大震災から2年以上が経過しているが、エネルギー環境教育の重要さが増している。学力の育成や、持続可能な社会の構築といった教育的課題と直結している国民のエネルギー選択には、学校教育が大切な知識や情報を提供するべきだ」とセミナー開催の背景が説明された。
 次に、同大学の平石隆敏教授が登壇。「リスクとどう向き合うか」をテーマに、「正しく恐れること」や、社会的な議論・合意形成を行うにあたっての考え方が紹介された。
 その後、NUMOの担当者から、高レベル放射性廃棄物処分の現状について情報が提供された。さまざまな処分方法が世界規模で議論され、地層処分を行う方向性が打ち出されていることや、地層が本来持っている物質を閉じ込める性質を利用し、地表から300メートル以上深い地下に処分する計画が紹介された。高レベル放射性廃棄物を長期間にわたって地下に閉じ込めるために利用するガラスや、粘土の性質を理解するための科学実験も行われた。
 午後からは「廃棄物問題の教材化」をテーマにグループ討議を実施。各学校段階でどのようにエネルギー環境教育を扱っているかを確認した後、地層処分をどの段階で、どのように題材として扱うかを議論した。「中学校や高等学校でいきなり扱うのは難しいので、小学校段階からエネルギー問題の一つとして触れさせたい」「教室内で処分方法について議論をする前に、地層処分とは何かを理解できる教材が必要」などの意見が発表された。

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教材や授業例を集約

 NUMOは今年度、全国10か所でこのセミナーを開催する。詳細は「エネルギー環境教育支援サイト」で紹介。授業の指導案や実践事例もWebサイトを通じて掲載していく予定だ。(URL=http://numo-eess.jp)
 問い合わせは、教職員関係者向けワークショップ事務局(Tel=03・3547・5580、E-mail=info@numo-eess.jp)まで。

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