日本アイ・ビー・エムのメンタープレイス
東京都内、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、IBM)の社員ボランティアが集まる会議室と、ブラジル・サンパウロの会議室がテレビ会議回線で結ばれた。画面の向こう側にはサンパウロの中学生が並ぶ。今日は、日本の社員とブラジルのサンパウロ市、スザノ市の二つの中学校の子どもたちが約2カ月半にわたってメールで交流してきた「メンタープレイス」のうち、サンパウロの子どもたちとの修了式だ。
一対一の専用メールで交流を深める
これまでに日本語を学んだものの、実際に使う機会がなかったブラジル日系3世、4世の子どもたちが、一対一で社員ボランティアと交流を行った。最初は英語だったメールも、日本のアニメや漫画、スポーツの話題でやりとりする中で積極的に日本語を使うようになった。修了式では、日本語でスピーチする現地の子どもたちに対して、その上達ぶりに驚く場面も見られた。最後にサンパウロでも流行している日本の歌謡曲を日本語で合唱。感動の修了式となった。
日本の学校でも実施中
この「メンタープレイス」は、社員ボランティアと児童・生徒が一対一で、専用の安全なWebサイト上でのメールを通じたメンタリングを継続して行うもの。男子児童・生徒は男性社員、女子児童・生徒は女性社員が担当して交流する。
児童・生徒は提供される数学、科学、社会、芸術、読書、スポーツなどの学習課題の中から、社員と一緒に興味あるものを選定。その課題について週1回のペースでメールを送信する。課題の中には仕事について考える内容もあり、社会人と直接メールすることで将来のことを考える機会にもなる。
今年度は愛知県内の中学校で中学1年生24名が3ヶ月半にわたる交流を実施している。また、ブラジル、インドなどの途上国に、現地での社会貢献活動グローバルチームの一員として派遣された日本IBM社員たちが、メンタープレイスを用いて、現地から千葉、東京、神奈川、山形の中学生・高校生とのやりとりも実施。終了後には社員が学校を直接訪問して帰国報告会も行う。
担当しているIBM社会貢献部の横田由美子さんは、「子どもたちにとって、親や先生以外の大人と接する貴重な機会になっているようです。国を超えたメンタープレイスではこどもたちのグローバル社会への興味関心や学習意欲の向上が見られました。ネットワークでつながることで、距離や時間の制約を超えた、未来の人材育成活動が可能となりました」と話す。