ブロードネットマックスと連携した授業
「普段みなさんが見ているテレビ放送は、どのようにして届けられているのでしょうか?」埼玉県八潮市立大瀬小学校5年生の社会科「わたしたちの生活と情報」の単元で行われた授業の冒頭で投げかけられた質問だ。テレビ局で番組が作られている様子を見学してきた子どもたちも、簡単には答えられない。
そこで、授業の進行役であるNPO法人企業教育研究会のスタッフがゲストを紹介。ケーブルテレビのインフラ構築やデジタル放送関連機器の開発などを行っている株式会社ブロードネットマックスの辻清美さんが登場した。放送が電波によって届けられている過程を、テレビ局の屋上や東京タワーに取り付けられているアンテナの写真を見ながら説明した後に、教室内で放送がテレビに届く仕組みを確認するための実験が行われた。
放送が電波で届く仕組みを実験
教室の様子を撮影している家庭用ビデオカメラを、ブロードネットマックスが用意した簡易型放送送出装置(ワンセグ用)に接続。この装置は放送を圧縮し、その信号を電波にのせて送るものでテレビ局と東京タワーの役割を同時に果たす。
そして小型のポータブルテレビの電源を入れると、教室の様子がそのまま画面に映った。次に携帯電話のワンセグテレビでも映ることを確認すると、突然画面が乱れた。辻さんが簡易用放送送出装置のアンテナの周囲を障害物で遮ったためだ。
電波が届きにくい場所にはケーブルで
「タワーから家までの間に山や建物などの障害物があると、電波がうまく届けられません。そのような地域にはどのようにして放送が届けられているのでしょうか?」新たに浮上した疑問にも、再び辻さんが解説。電波が届かない地域には、ケーブル(光ファイバー等)を経由して各家庭に放送が届けられていることを説明した。
次に、光ファイバーが情報を伝えるという特長を体感するために二つ目の実験を行った。テレビリモコンを押してもチャンネルが変わらない位置(方向)で、光ファイバーの一方をリモコンの先に、もう一方をテレビ側の赤外線受信部にあて、チャンネルを変える操作を行ったところ、赤外線が光ファイバーを通ってチャンネルが切り替わった。さらに、ケーブルテレビ局で撮影した映像で実際に光ファイバーを人の手で引っ張って取り付ける工事の様子を紹介するほか、辻さんが持ってきた光ファイバーの模型を見るなど、ケーブルテレビで放送が届けられている仕組みも学んだ。
放送を全国に届ける仕事
最後に、辻さんから「テレビ局が制作した番組を、全国どこでも見られるようにするために、様々な技術や人が支えている。これからテレビを見る時にはその仕組みや働いている人にも関心を持ってください」とメッセージが送られ、一時間の授業は終了した。
子どもたちからは「実験に参加できて楽しかった」という感想だけでなく「いつも簡単にテレビを見ているけど、そのためにはたくさん人が仕事をして、電波を届けているということがよく分かった」という情報通信の仕事に関する視野の広がりを実感した意見が出た。