株式会社ブリヂストン『環境ものづくり教室』
環境問題に取り組みながら生産を行う工場の様子を、楽しみながら学ぶ、そんな授業が始まった。熊本県の玉名市立大野小学校では今月、株式会社ブリヂストンとNPO法人企業教育研究会、そしてNPO早稲田環境教育推進機構の連携による出張授業『環境ものづくり教室』が、小学校5年生を対象に行われた。ブリヂストンの熊本工場の社員を招き、同社が取り組む環境対策について知るとともに、ゲームで実際の工場経営を体験しながら環境への取り組みについて学んでいくという内容だ。
タイヤづくりを学ぶ
まずは、タイヤを生産して、販売するまでの流れを学ぶ。普段目にしている自動車のタイヤがどのような工程を経てできているのか、実際のタイヤ生産の流れをまとめた映像や、クイズなどを用いて確認していく。また、よく跳ねるゴムボールとあまり跳ねないゴムボールを比較して、材料の配合によってゴムの性質に違いがでることなどを確認しながら、タイヤづくりにおける工夫を学んでいく。
環境に配慮した工場経営ゲームで疑似体験
タイヤの製造工程が分かった後は「工場長ゲーム」で、工場経営を体験。「工場長ゲーム」は、すごろくを通して、より生産性が高く、より環境にやさしい工場経営を目指していくゲームだ。すごろくのマスには、生産から流通までさまざまな出来事が記されて「お金」や「エコポイント」を獲得していく。タイヤを多く生産するほど売上が増え、獲得するお金が増えるが、同時に環境への負荷も増える。工場では環境への配慮を考えていく必要があるが、それを数値化したものが「エコポイント」だ。獲得した「お金」を使い、増産体制をとることもできるが、環境対策をするための設備に投資することもできるので、その使い道の選択が求められる。
ゲーム終了後、工場経営者としての評価をする際に、いくら「お金」を多く獲得しても「エコポイント」が少ないと高い評価を受けられない。両者のバランスを考えながらゲームを進めていく中で「利益の増大」と「環境への配慮」の両輪をうまく回すことが求められることがわかってくる。
授業後の感想
授業を受けた子どもからは「タイヤはいろんなゴムを混ぜて作られているなんて思わなかった。工場では環境を考えながらタイヤが作られている事が分かった」といった感想があげられた。また、「生産や環境などお金などのバランスを考えて経営するところがむずかしかったけど楽しかった」と、実際の工場経営さながらの葛藤を味わったという意見もあげられた。
「環境ものづくり教室」は昨年度から取り組みが始まっている。今年度は、全国のブリヂストンの工場周辺にある学校で、現地の工場で働く人ともに授業を行っている。現在、27校ほどの学校で授業の実施が予定されている。