日本IBM「トライサイエンス」
身近な科学実験を通し、子どもたちの科学技術や働くことへの興味・関心を高めたい――。日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)とNPO法人企業教育研究会(以下、ACE)の2者は、理科実験を活用した出張授業「TryScience(トライサイエンス)」を実施している。
7月と8月の2回にわたり、東京都大田区立赤松小学校の体験講座「夏休みわくわくスクール」のプログラムとして、1年生から4年生の児童を対象にこの授業が実施された。
身近な製品を使いメッキを体験
当日は、日本IBMの社員ボランティアが参加。2日間で4つの授業が行われた。「クギの大変身!」と題された授業では、メッキをする前と後のクギの写真を比較して違いを観察。その後、メッキの技術が電化製品や玩具、仏像などさまざまなものに利用されていることを知る。電気を通さないものの表面にメッキをすることで、機械の中の部品とすることができる。表面を滑らかにしたり、光沢をつけたりすることができる。さびにくい金属でメッキすることで腐食を防ぐことができる、などのメッキが生活の中で活用されている事例やその歴史を紹介する。
科学的な仕組みを学んだ後は、実際にクギを銅メッキする実験だ。酢を入れた水に銅を入れると銅イオンが溶け出す。そこにクギを入れてしばらく置くと、クギの表面に銅が付着していく。身近な道具で起きる不思議な現象に驚きの声があがる。
実験に加え、IBMの社員からは会社での仕事について紹介。試行錯誤を繰り返しながら、開発した技術でさまざまなことが便利になるために働いている技術者の仕事に触れる。科学の面白さと、それが人々の生活に役に立つことを実感できるプログラムだ。
6種類の実験を用意
「クギの大変身!」以外にも、オンライン科学館「TryScience(http://www.tryscience.org/jp)」の中で紹介されている科学実験を活用し、合計で6種類の出張授業を実施。風船を使って宇宙船の推進力を体験する「探査機を宇宙に飛ばそう」や、地球環境問題のひとつである海洋汚染を改善する技術を体験する「油膜」の実験など、いずれも45分から90分で構成されている。