カネボウ化粧品の研究者と学ぶ紫外線と皮膚
企業で活躍する研究員が中学校を訪問し、遺伝子(DNA)と紫外線の関係をテーマにした理科の授業を行うプログラムが開発された。株式会社カネボウ化粧品とNPO法人企業教育研究会が連携して授業づくりを行い、本格スタートを前にした昨年11月、四街道市立四街道中学校の1年生を対象に授業が実施された。
実験やクイズを通して紫外線とDNAを学ぶ
まずは同じ内容が書かれている2枚のはがきが配られた。1枚は郵送前、もう1枚は郵送済みのはがき。どちらが郵送済みか見分けるため、紫外線を放つブラックライトを当てると、郵送済みのはがきだけ赤い光を放つバーコードが浮かび上がり、生徒からは驚きの声があがる。
目に見えない紫外線の基礎知識を学んだあとは、千円札にブラックライトをあてる。偽造防止のための特殊なインキで印刷されているため、これも反応する。普段使っている蛍光ペンで書いた線も、同じように光る。紫外線が身近なものに活用されていることがわかる。
さらに、普段どれくらいの紫外線を受けているのか、紫外線チェッカーを使って観察。日焼け止めが塗ってある部分は反応せず、塗っていない部分だけ色が変わる。冬の曇りの日でも紫外線はあることがわかる。
その後、紫外線の皮膚への影響を研究員が解説。紫外線を浴びると皮膚細胞が持つDNAが傷つけられる。細胞には、遺伝情報の担い手といえるDNAを正常に保つため、DNAを修復する機能が備わっている。また、次に浴びたときのためにメラニンという物質が皮膚の中でたくさん作られる。メラニンが持つ黒に近い色は、光を吸収するため、紫外線を吸収して、皮膚のDNAを守ることができるのだ。
しかし、この防御反応には個人差があることや、長い間メラニンを作り続けるとシミになってしまうこともある。日焼け止めも同じように紫外線を吸収したり、散乱させたりすることができるため、皮膚のDNAを紫外線から守る働きがあること説明された。
最後に、化粧品開発や皮膚の研究をする研究員の仕事の内容や、この職業を選んだ理由、研究員になるまでの道筋などを語る時間が設けられ、1時間の授業は終了した。生徒からは「印象的だったのは、傷ついたDNAを元に戻せるということ」「紫外線や皮膚の知識についてもっと知りたい」といった感想が寄せられた。