キヤノン(株)の新しい取り組み
「プリンターが中でどのように印刷しているか、見たことがありますか?」と自己紹介とともに語りだしたのは、キヤノン株式会社(以下キヤノン)の技術者である中島一浩氏。川崎市立御幸中学校で11月6日、7日の2日間に分けて実施された、キヤノンの新しい出前授業の中で、生徒に投げかけられた最初の質問だ。
プリンターに使われている技術とは?
授業の前半は、インクジェットプリンターがどのように印刷しているのか、その仕組みを学ぶ。
灰色に印刷された用紙を顕微鏡でのぞくと、歓声が上がった。肉眼だと灰色に見えるのに、顕微鏡で覗いてみると色鮮やかな「点」がたくさん見えるのだ。実はプリンターは原則的にシアン、マゼンタ、イエローの3色を使い、細かなドットでできていると中島氏が説明。キヤノンのプリンターがどのようにインクを打ち出しているかについても解説をしてく。
プリンターを体験!
印刷方法について理解した後は、プリンターキットを使って生徒たち自身がドットで文字を表現。班のメンバーと協力しながら夢中になって実験に取り組んだ。実験後には実際のプリンターがどのくらい高速に、精度を保って印刷しているかを解説。
インクカートリッジの不思議な仕組み
プリンターキットを使う中で、インクの射出にはインクカートリッジの水位が一定であることが必要であることを知る。水位を一定にする仕組みはインクカートリッジの中にあり、その原理は中学校1年生で学習する「大気圧」と「重力」が関わっていることを知る。解説を受けた後はプリンターキットで再び実験。今度は、インクカートリッジの構造を模したタンクで仕組みを観察する。目の前で起きる不思議な現象に目が輝やいた。
プリンターとエコ
授業の後半ではプリンターとエコの関係について学習。キヤノンのプリンターは“つくる”“つかう”“いかす”の3場面で環境に配慮していることを知る。“いかす”の部分では、インクカートリッジのリサイクルの取り組みを説明。授業で体験したインクカートリッジのしくみが、分解性の向上につながっていることを知る。最後に、「私たちも頑張って環境に配慮しています。みなさんもインクカートリッジのリサイクルに協力をしてください」と中島氏が締めくくった。参加した生徒からは「どうして速くきれいにプリントできるのだろうと思っていたので、よく分かってうれしかった」「理科のことが多く使われていてすごいと思った」「インクカートリッジの回収をしっかりしようと思いました」といった感想があった。
本授業はプリンターの技術理解とインクカートリッジのリサイクルを訴えることを目的とし、キヤノン株式会社とNPO早稲田環境教育推進機構が共同で開発。今回が初の授業となる。今後は改善を重ねキヤノンの事業所やグループ会社周辺の学校で実施していく予定だ。問い合せは、キヤノン株式会社 CSR推進部 社会貢献推進課(電話・03・5482・4792 E-mail:edu-inkjet@list.canon.co.jp)まで。