川崎市・市内企業研究開発成果理解促進活動支援事業
藻で濁り、葉っぱやゴミが浮かんだ水が、コンパクトな装置「オスモポッド」を通るとあっという間に飲料水に変わる。驚きの技術を体験する授業が、川崎市立西生田中学校の「ふれあい講座」として実施された。
不純物を除去した「水」を作る企業
講師を務めたのは川崎市内に本社を置く株式会社オスモ(以下、オスモ)の増田徹さん。雨水や海水、水道水や飲料水など「水」と呼ばれるものの多くは、H2O以外の物質も含まれていることから解説が始まった。
次に、不純物を取り除いた限りなくH2Oに近い「純水」や、それよりもさらに不純物を除去した「超純水」を作る技術を作る機械を、オスモが製造していることが紹介された。これらの水は、精密な電子部品の洗浄や、血液検査の機械の洗浄、濃縮還元ジュースの製造などさまざまな分野で活用されている。
災害時に飲料水を確保する技術
その後、オスモが製造・販売しているオスモポッドが紹介された。オスモポッドは、災害時に河川水、防火用水、プールの水、雨水などを原料にして飲料水を生成する装置で、東日本大震災の時にも宮城県東松島市などで活躍している。
オスモポッドには「3種類のすごいフィルター」が使われている。ひだ状のろ紙「プリーツフィルター」がほとんどの個体を除去。次に「活性炭フィルター」がにおいのもととなる物質を吸着して、脱臭する。最後に「逆浸透膜(RO膜)」で、細菌や重金属、ダイオキシンや放射性物質などを取り除く。RO膜は、水だけが通り抜けることができる細かい穴の開いた長いフィルターだが、穴が細かすぎるため、水が通過するのに時間がかかる。そのため、圧力をかけて膜を通過させる仕組みが説明された。
仕組みを理解した後は、理科室の隣にあるプールの水をオスモポッドで飲料水に変えた。濁っていた水が短時間でおいしい水に変わり、生徒からは驚きの声が上がった。授業後は「濁った水がここまで美味しくきれいになるとは思いませんでした。水に困っている人たちを助ける技術が、外国でも活躍してほしい」「オスモポッドを使って、どれだけの人間の役に立っているのかが分かった。僕も将来人の役に立つ仕事に就きたい」といった感想が寄せられた。
理科の学習内容が製品に応用される
平成26年度も、川崎市では「市内企業研究開発成果理解促進活動支援事業」として、市内の中小企業が、川崎市、株式会社ぎょうせい、NPO法人企業教育研究会と協働してプログラムを制作して、授業を実施する。今年度はオスモの他に、公益財団法人実験動物中央研究所と株式会社ユニオン産業の2社が授業を実施する予定だ。
この授業に関する問い合わせは、川崎市経済労働局産業政策部企画課(電話044・200・3714)まで。